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崇仁協議会の都市再開発基本理念
中 口 寛 継
1.
今日、世界の先進諸国にとっての命題として「危機管理」があります。たと
えば地震や災害のときに、道路が狭小かつ曲がりくねっていれば迅速な避難や消
火活動の妨げになり、天災が人災となり大きな被害をもたらしてしまいます。
そのため、合理的な都市機能においては合理的な道路計画が必要となります。従
来の縦横断型からヨーロッパ型の広円通回路へのレイアウト転換が唱導されてい
るのも、広い視野に立った街づくりが、地域住民の安全を守り健全な生活を確保
する上で欠かせないものだからです。
2. 社会資本の合理的かつ経済的充実とは、同時に地域住民の生活が合理的かつ
経済的に充実していることを意味します。つまり、地区の開発と街づくりとは、
地区住民の経済的充実に応える施策でなければならないのです。しかし、ゆとり
のある街づくりを実現するには広域を確保する必要があります。
東海道新幹線で京都駅に発着するホームからは崇仁同和地区が見渡せます。今
は古い家並みが並んでいるだけで貧しさの象徴に過ぎませんが、ここに独特の個
性を持った魅力的な市街景観を発見したとしたらどうなるでしょうか。誰もがき
っと「行ってみたい」と思うはずですし、必然的にそれは京都の新しい在り方と
して活気を呼び込み、経済効果も発生してきます。
3. 私たちの目指すスージータウン構想は、既成概念では想像し得ないほど幅広
い視野のもとで計画されています。となりますと、財政基盤の脆弱な京都市の行
政では処理しえる問題ではありません。国の同和政策に付随する予算と共に、第
3セクター方式で対処する以外に方法はありません。
その一環として、崇仁地区
の南部に位置する東九条地区を加えた30万坪をスージータウンの核として位置
付け、都市再開発を進めていくことが出来ればと考えています。
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