東京三菱銀行との闘い


準備書面(1)


平成12年(ワ)第1706号 損害賠償請求事件
原告 株式会社東京三菱銀行
被告 崇仁協議会外4名

準備書面(1)平成12年12月14日

京都地方裁判所
第2民事部合議A係 御中

被告訴訟代理人弁護士 早川晴雄

右当事者間の御庁頭書被告事件につき、被告5名は左記の通り陳述する。

原告の請求の原因に対する答弁及び主張

「第一 当事者」について

左記諸点を除き、客観的事実は概ね認める。
一 11頁の記載中
  1行目「と称し」
  3行目「その実体を失い、自然消滅した」
  4行目「と称する会合」
  5行目 全部
  9行目「称する」
は否認ないし争う。

 なお、被告中口は、平成12年6月29日開催の原告株主総会に際し、被告中口ら株主に対する出席禁止仮処分決定が発せられて、原告から本店内に立ち入る事を制止されたにも拘らず敢えて本店玄関内に1.9メートル足を踏み入れたため、建造物侵入として逮捕拘留のうえ公判請求されたことに責任を感じ、平成12年8月25日付をもって委員長を辞任し協議会からも脱会を届出で、同年9月11日開催の被告崇仁協議会臨時総会に於いて承認された。

ニ 12頁中の記載中

 1
 11〜12行目「原告に対する違法な抗議行動を計画、指揮、実行してきたものである」は否認ないし争う。むしろ、原告及び原告代理人宮崎乾郎弁護士らが、後述の原告出町支店木戸副支店長による被告崇仁協議会の高額な預金の不当払戻しに対する疑問解明並びに正当な預金債権者である崇仁協議会に対する預金払戻要請に誠意を示さないことへの止むに止まれぬ崇仁地区住民(協議会会員)有志の抗議要請行動に対し、恰も暴力団の違法行為に対すると同様の高圧的かつ欺瞞的対応に終始したというのが実態である。


 被告片順姫は、被告中口の前記辞任、退会と同時に委員を辞任し退会している。


 被告川村は前記平成12年9月11日開催の臨時総会において従前の会長職のまま委員長を兼務することが承認された。

「第二 従前の抗議行動と法的対応措置」について

一 冒頭記載について

 被告側には正確な記録が無いので、原告の「抗議行動一覧表」の記載についての具体的かつ詳細な認否は事実上不可能であり、「過激かつ執拗な抗議行動」との評価及び一覧表記載の「警備員への体当たり」「ガードマンに暴行」などの事実は否認ないし争うが、原告の誠意ある対応を要望するための協議会員との面接要請ないし抗議行動及び一般市民にそれらの行動への理解を求めるためのビラ配布などが継続して行われた事実は全般的な流れとして認める。

 インターネット上のホームページの掲載内容が「原告を誹謗中傷する」との点は争う。掲載内容は事実及び正当な主張である。


 右冒頭記載について1乃至8の項目別に原告の主張が詳細に記載されいる(13頁乃至35頁)が、すべて前述のように被告側の本件要請、抗議行動の原点(原告の不当な預金払戻経緯)の開示を回避すべく、被告ら住民の真意を敢えて理解しようとせず、その基本問題に対する不当な認識と偏見に基づいた訴訟戦略の中で述べられているので、原告の評価、認識を捨象した純粋に客観的な事実、例えば「裁判所が仮処分決定を行なった」という裸の事実(その決定というのも、原告が、被告らの原告との紛争を円満に解決するための対話を求める要請ないし示威、抗議行動及びその真の意図を、全て悪意を以って歪曲、粉飾し、もともと被告らのこれらの行動が原告側の不当な対応に起因するものであることを棚に上げて、一方的に如何にも被告らの何の理由も無い違法、不当な行動により原告が被害を蒙っているかの如く事実を仮構することによって被告らの行動を禁止する仮処分を申請したことに基づく裁判官の(結果的に)偏頗な判断による決定であって、決定の存在を認めるとは言ってもその正当性を認める趣旨ではない)など、かなりの部分は認める余地が無くはないものの、記載されている主張の全趣旨は全て否認ないし争うものであり、一応客観的事実のように記載されている点についても、現段階では、本件についての第一次的直接関係者である藤井鐵雄及び被告中口は両名とも、刑法犯により受刑中であるため、本件訴訟に関する打ち合わせが事実上困難なこともあって、正確な認否は後日然るべき時点まで猶予いただきたいのであるが、取り敢えず原告の主張のうちの「明白な誤りの代表的なもの」を摘示するとともに、基本的主張に対する反論を述べれば次の通りである。

 なお、「明白な誤り」として以下に摘示しないからといって、その余の部分を認める趣旨ではないことを改めて強調しておく。

第一項について

一 「高谷泰一郎」なる人物は不知。

 それが「高谷泰三」の誤りであるにしても、同人が当時被告崇仁協議会の会長であったことは無い。協議会には当時会長職自体無かったのである。

 また高谷泰三が協議会経理を担当した事実も無ければ事務職員でもなく、当時の藤井鐵雄委員長の単なる友人で、全日本同和会洛南支部長で、自らは経営コンサルタント業者と称していた。

 同人の子息である高谷知伺が協議会会計主任として経理を担当していた事実があるに過ぎない。

 従って「高谷泰一郎が原告出町支店の預金口座を開設した」とか「高谷がすべての預金口座の通帳と印鑑を所持し、入出金もすべて高谷の指示で継続されていた」事実は無い。

ニ 14頁4行目「虚偽の事実をデッチ上げて」は否認する。

「デッチ上げ」は真実を隠蔽するための原告の口実に過ぎず、まさにそこに記載された事実こそが真実であり、この不正出金が本件の発端であり、根幹である。

三 14頁8行目「これに基づき、9月19日、原告は……」から11行目「……コピーを交付した」までは否認する。

 藤井が問題意識をもって確認することを求めた預金払戻関係資料の一部についてのみコピーが交付されたに過ぎず、全体の関係資料が開示されなかったので、実態の解明はできなかったのが事実である。

第二項について

 全面的に否認する。

 以下にこれに対する反論を、取り敢えず重点的に述べる。

一 15頁の記載について

 平成9年8月26日の山代温泉における会合は、崇仁協議会の臨時総会ではなく「崇仁の地域町造りを進める会」と指称する任意団体(以下「進める会」という)の臨時総会であった。

 右「進める会」は右期日前に2回、以後にも2回に亘り臨時総会を開催しており、被告崇仁協議会と並列した同じ権利能力なき社団としての住民団体で、構成員も双方に入会している者が多いが、被告崇仁協議会が同和の差別撤廃という理念を主たるスローガンとして本件のような具体的活動をする団体であるのに対し、「進める会」は住民の日常的な問題、主として地域の健康にして住み易い町づくりをお互いに相談しながら実行しようとする団体ということができ、後には従前のとおり崇仁地区に対する行政当局の「同和特別地区」の指定の解除を受けることを目標として動くのとは別に、改めて地方自治法第260条の2による「地縁による団体」としての法人化を目指し、名称も従前の「崇仁の町造りを進める会」を「崇仁の地域町造りを進める会」と改めたりした(これは後述の原告代理人宮崎弁護士からの「原告からの和解金を支払い易くするには、法人になったほうが好ましい」との助言に従うべく努力したものであった)のだが、認可を得るには至らず、最近崇仁協議会に吸収合併された、という経緯がある。

 なお、被告4名のうち、被告吉川は崇仁地区出身者である。被告中口、同姫子、同川村は地区出身者ではないが、崇仁協議会及び「進める会」の趣旨に賛同し、地区住民の各種活動に積極的に協力すべき協議会の同意を得て入会した者達である。


 原告による預金不法払戻しに対する被告ら崇仁協議会の預金払い戻し要求について、被告らが、多額の費用と相当な日数を要するであろう正式裁判によらなくても、話し合いによる和解で解決する事が可能であると判断し、このための話し合いを求めて本件各種要請、抗議行動をするようになったそもそもの動機は、原告代理人宮崎乾朗弁護士の示唆と助言によるものであったのである。

すなわち、
 平成9年4月始め頃、かねて藤井鐵雄の代理人として原告代理人の宮崎弁護士との交渉を重ねて同弁護人の信頼を得ていた伊藤高明の設定により、同人の経営する京都市東山区所在不動産会社の事務所三階で、崇仁協議会側は同人、被告中口、北村耕之助の3名と原告代理人たる宮崎弁護士、田中英行弁護士が会合し、その席上宮崎弁護士は

「出町支店の預金は名義の如何に拘らず、藤井鐵雄個人の預金ではなく、崇仁地区住民全体の預金だと理解しているし、銀行も当然そのように認識している。そこで個人預金だと主張し、信用のおけない藤井が委員長である間は崇仁協議会に金を渡す訳にはいかないが、藤井委員長を解任して信頼できる新委員長が決まれば、東京三菱銀行は、崇仁協議会を相手にして然るべき金額で和解の話を進めることができる」と申し出られたうえ、

「もし藤井が新委員長と交代することが難しいようなら、別途崇仁地区住民の信頼できるような組織を作って欲しい。そうすればその組織と三菱との間で和解することができるようになるので、早急に形を整えて貰いたい」と言い、さらに

「本当は、そのためにも藤井さんが逮捕でもされれば話が早いんですがね」とも発言されたのに対し、北村が、

「藤井は今も覚醒剤をやっていますよ」と言うと、宮崎弁護士が、

「それででも捕まると良いが、何か工夫はないものですかね」とまで言われた、という経緯があり、そのような宮崎弁護士の具体的な要望に応えるべく、被告中口らが前述の「崇仁の町造りを進める会」の体制整備にも努力するようになったものである。

 その後も宮崎弁護士は伊藤高明、北村らとの話し合いを進め、被告中口も同人らからの「宮崎先生の意向もあり『進める会』で三菱との和解を具体化したいので協力してほしい」との要請を受け、伊藤らの三菱との和解に向けての宮崎弁護士との交渉を有利にするべく、前述のように「進める会」の名称変更や「地縁による団体」としての法人化に努力したものであった。

 このように宮崎弁護士自体が、原告からの和解金(金額は交渉の上で決めることになっていた)を支払うことによって出町支店のルールに外れた預金払戻しの穏便な後始末をつけようとされていたものであり、被告らはその申し出を信じて受け皿の整備に努め、被告中口は、宮崎弁護士と意を通ずるようになっていた伊藤高明を介して「原告から出る金は、崇仁地区の住民、特に老人のため及び同和特別地区の指定解除手続きのための費用として使うべく誓約する」旨を原告側に伝達するなど、和解に向けての努力を続けたのであるが、やがて如何なる内部事情によるものなのか宮崎弁護士の態度が豹変して、むしろ威丈高に被告らを暴力団扱いで押さえつけ、宮崎弁護士の得意とされる民暴対策的対応で被告らの和解に向けての要請を峻拒することによって依頼者たる原告の意を迎える戦術に切り替えられたため、被告らはこのような宮崎弁護士の被告らに対する背信行為に失望するに至り、やむなく宮崎弁護士を介することを拒否して原告に対して直接自分らの穏便な和解への真情を訴えんとして各種の要請、抗議行動に出るようになり、一般市民の理解を求めるPR活動にも努めるに至ったものである。


 崇仁協議会が木村澤東弁護士に委員長を委嘱した経緯

 藤井の知人伊藤勝次の紹介で一時期藤井の刑事事件の弁護人になったこともある木村弁護士は、その父親が戦前に崇仁地区に共産党活動家として潜伏していたこともあって、崇仁地区に親近感を抱くとともに崇仁協議会の理念に共感し、原告との紛議を知るに至るや、被告ら崇仁協議会の役員らに対し「この紛議を和解で解決することによって『同和特別地区の指定』解除や『地縁にする団体』認可を得る為の活動資金を調達するとともに住民の結束を固めることが大切だ」との見解を披瀝し、また同弁護士が京都市の第一副市長と親しい事を聞いた崇仁協議会の役員らが『地縁による団体』の認可申請にも有効であろうと期待したこともあって、この際、木村弁護士を委員長代行とすることによって崇仁協議会の信用も高まるし、同弁護士にも一層真剣にこれらの問題に取り組んで貰える事ができる、と判断し、同弁護士も同様の意向を披瀝したところから、協議会役員全員の同意により木村弁護士に委員長代理就任を依頼したものであるが、その段階では木村弁護士の破産宣告など凡そ予測し得ないことであった。

 従って右のような実状を無視したき村弁護士に関連する原告の主張事実は、事実に反するか或いは被告らとして認めることのできない事実である。

 なお、17頁8、9行目に「日当を支払うことによって多数の付近住民を集め」とあるのは事実に反し、ただ参加者全員に弁当を配り、集会の後片付けをした老人数名には礼金として2、3千円程度を贈ったのみであり、住民はいずれも自発的積極的に集会に参加したものであって、原告主張のように単に人数揃えのために本件に無関心な者達を狩り集めた事実はないのである。


 19頁12、13行に「北村、増田らの有志」と表示されているグループの実態は、次のようなものである。

 もともと右の者らは、前述伊藤高明から誘われて共同行為をするようになったものであるが、伊藤は被告中口に対し

「三菱との和解で金が入ったら、その金は秋田の自分の嫁の実家に1年位置いてから、皆で分け合った方が良い。金が入ったことを地区住民に知られたら面倒な事になる。あんたの言うように、地区のために使うなんてことは考える必要がない。このことは北村にもはっきりと言ってある」と誘いかけ、これに対し、前記のように原告から受領することになる和解金は、地区住民のために使用することを信念とする被告中口がこれを断ったことで、伊藤、北村、増田と被告中口が絶縁状態になったのが事実である。

 また北村から「自分についてくれば、伊藤、北村、増田、吉井で宮崎弁護士がくれるはずのお金を俺たちだけで分けられる」と誘われて同調するようになったものであり、こうした実情からも判るように、むしろ北村、増田らは地区住民から良い評価を受けていない人物だったのである。

 これらの事実から「北村ら有志」の運動ないし交渉の実態(私欲のための金員要求)は凡そ推測できるのであり、従って原告主張事実の反真実性も浮かび上がるのであり、さらには原告の主張にある如き北村らの言動が被告らの本来の純粋な意図とは反していて、被告らの意思や現実の活動とは全く無関係であることが明らかである。

第三項について

 原告は、恰も木村弁護士の公序良俗に反する運動方針の指示・勧告が、被告らの言動の指針になっていたかのように主張するが、被告らとしてはもともと同弁護士の前述のような正当な理念と行動指針に共感してその能力発揮を期待し、その限りにおいて協力を求めたのであって、違法行為に及ぶことの意識は全く無かったのである。

 具体的な文言はその時々で若干異なるにしろ、原告らは「原告が我々の要請に一顧だに与えないのは同和を差別しているからだ」「出町支店の木戸副支店長が高谷の無権限を承知でルール違反のチットブックによる156億円もの不当な預金払戻しをしたのでから、本店が責任をもって本来の預金者崇仁協議会に払い戻せ」「木戸副支店長の払戻し手続きの全部について実態を説明しろ」という預金者としての当然の要請を原告に申し入れたのみであり、その申し入れ方法が集団による強烈なものであったにしろ、それは崇仁協議会から原告頭取に対し再三に亘り正常な交渉の場を設けることを峻拒する原告に対する意思表示の方法としては他に手段が考えられないため、止むを得ず執った方法であった、ということができるのである。

 被告中口が、平成9年10月29日に原告本店ロビーでデモ行動を持ったのも、同被告が自分らの要請の正当性に自信を持っていたからこそ、その自信と真剣さを原告に強烈に訴えるための痛烈なジェスチャーに過ぎないのであって、被告中口自身、内心ではもともと自己の死を招く結果になるような点火までする意思なぞ全く無かったのであるから、原告の言う如き「現住建物放火予備罪」に該当する余地は凡そ無いのである。

 なお、前述のように自己等少数者の利得のみを企図していた北村、増田らが、被告中口らの私心無き壮絶な要請抗議行動について行けなかったのは当然であり、また彼らのみが崇仁協議会から離脱したに過ぎず、原告が如何にも被告らへの批判者が多数生じたかの如く主張するのは誤りである。

第4項について


 崇仁協議会がこれまでの抗議行動の過程で、その活動主体の名称を変えて行動したことは一度も無い。


 被告中口が木村弁護士によって原告の主張するような不当な方向へ「洗脳された」事実の無いことは、先に同弁護士に対する被告中口らの認識として述べたところと凡そかけ離れていることからも明らかであり、崇仁協議会の運動の進め方は、すべて被告川村、同中口、同吉川を中心に業務委員会で決定されてきたのである。

 特に被告川村の従前の貴重な同種運動経験からする発想を「餅は餅屋」ということで信頼していたので、同じ意見を徴するにしても実務上は木村弁護士よりも被告川村の意見を皆が尊重していたのである。


 被告らの崇仁協議会としての活動に当たって、地区外から集会に参加した者もあるが、これらの者は凡て崇仁地区に居住し、常時崇仁地区に来訪して自発的に地区のため活動に参加している者達であり、単に人寄せのために地区外に呼びかけるようなことはしていない。


 要請抗議運動への参加者には、その運動が週日の日中に実施されることが殆どだったこともあって、現役でない65歳以上の老人が少なくなかったことから、平成10年当時は5回に1回位、運動の帰途皆で相談して疲れ休めに温泉に立ち寄ったこともあったが、平成11年以降は1度も無く、協議会としてはそのような経済的余裕も無かったのである。

 これら老人や、勤め先を休業して月給から休業分を差し引かれる者には僅かながら協議会の気持ちとして金銭的補償をしたことがある程度である。


 27頁1行目から6行目については、被告らの不知な事実であるが、改めて否認ないし争うことを強調しておきたい。

第8項について

 34頁14、15行の証言は不知であるが、崇仁協議会の預金口座の銀行への届け出印鑑は、藤井委員長夫人が保管し、通帳は会計主任高谷知伺が保管していたのが協議会の慣行であった。

「第三 株付け、総会運営妨害と株主総会出席処分禁止仮処分決定」について

第1項について

 被告ら協議会会員が原告の株式を取得した事実は認める。

 被告らとしては、原告があくまでも話し合いに応じないのなら、この機会に株主としての法的立場で、原告に本件のようなルール外の預金払戻しをするような業務執行が他にもあるのか、原告本店は全国的に業務監督を徹底し、業務の改善措置を執るべきではないか等について原告の業務の適正化を正当な手段で勧告するほかはない、としてそれを目的とした株式の取得であるが、原告の主張するような「株主権の行使を装う事によって」違法不当行為をするため株主となったものではない。

第2項について

 ここでも原告の主張には事実に反する偏見歪曲がみられるのであり、平成11年6月29日の株主総会における原告指摘の事実の真相は次の通りである。

 当日「原告は総会議場へ手荷物を持ち込む株主に対し手荷物検査を実施していた」と主張するが、実際は一般株主に対しては手荷物検査を実施していなかったのであり、現に崇仁協議会会員の株主で手荷物を持っていた者でも、原告が崇仁協議会会員であると識別できなかった者は何ら検査を受けることもなく入場することができ、特に崇仁地区住民の女性株主で化粧入れのバッグを所持していた者が数名出席していたが、その中で手持ちのバッグの検査を受けた者は1人だけ(以下A女という)で、その他の者は全然検査を受けずに入場できたのである。

 そのような差を生じた理由として考えられるのは、同じ女性の崇仁地区住民でも、それまで運動にあまり参加せず、あるいは参加してもおとなしくてあまり目立たない人については、原告の警備担当者が協議会関係者であることに気付かず、一般の株主と判断して手荷物検査の対象としなかったのだが、A女は毎回の協議会の要請・抗議運動に最初から殆ど全部参加し、性格的にも感情的、行動的であるため、運動の過程でも目立ちやすい人であるため、原告の担当者にも顔を見覚えられてしまっていたところから、検査の対象とされたものであることが明らかである。

 A女は手荷物検査を求める警備員に対し「私だけが何故」「いやです」「あかん」と拒否したにも拘らず、警備員はこれを無視して、強制的に(在中品の任意提示を求めて所持人がこれに応じた場合ならば「警備上必要」という理由で一応適法とされようが、適法な捜索許可状も無く私人が他人の所持品の内部を強制的に開披捜索することは明らかに人権侵害であり、違法である)A女のバッグをこじ開け、内容物を傍らの机の上に放り出したところ、化粧品類に混じってゆで卵やサンドウィッチが転がり出たのである。

 そこで無法な取り扱いに憤慨したA女が「何故人の物を勝手に開けたの」と大声で抗議して詰め寄ったに対し、警備員数名がA女を取囲んで押さえつけようとし、行動的でしっかり者のA女も負けずにこれに抵抗して揉みあいになった勢いで、机上のゆで卵やサンドウィッチが床下に落下したのであるが、A女はやむなくこれをそのまま放置して総会会場に入り、先に入場していた者達に右の無法な行為を報告した結果、協議会会員株主の殆ど全員が右の警備員のいる受付へ立ち戻ったうえ「協議会会員だけに何故勝手な所持品検査をするのか」「差別をするな」等と講義をするに至ったものであり、原告の「数名が持参していたゆで卵とサンドウィッチを受付付近にばら撒き、大勢で踏みつけて潰すような暴挙に出た」「自らの責めにより招いた事態」などとの主張の方が不当である。

 また原告は「手荷物検査を受けた女性株主(複数)は、開会後、被告中口と顔を見合わせて手でサインを送り、先般の騒ぎが効を奏した旨の合図をしていた。ゆで卵とサンドウィッチをわざわざ持参してきた事を併せ考えると、実に用意周到な計画的な行動である」と主張しているが、これも極めて酷い偏見的憶測である。

 すなわち真相は、A女始め協議会員の株主らは、株主総会出席のため、前日にバスで上京して「東京ホテル浦島」に宿泊したのであるが、当日の朝食が同ホテルレストランでのバイキング料理であったところから、A女他数名が、後で食べようとゆで卵とサンドウィッチをバッグの中に入れてホテルを出発したものに過ぎず、このようなバイキング朝食の時の一部料理の持ち出しは、一般の宿泊客でも時に敢行することがあってホテル側も見てみぬ振りをする一種の悪戯っぽい所業であり。格別の意味は無かったのである。

 また、総会場における座席は、被告中口の真後ろにA女が居たので小声で話ができるのであるから「手でサイン」をするような余地は無いのである。

 右のような、平成11年の総会における崇仁協議会会員である株主の言動に関する虚構、曲解や第三項記載のシュプレヒコールの誇張などは、株主総会出席禁止仮処分決定を申し立てる際の理由として用いたるための作為とも解されたのである。

「第四 原告の損害ついて」

全面的に争う。

 崇仁協議会が、原告の主張するような危険集団あるならば、平成3年7月に原告出町支店の副支店長による預金不当払い戻し事実が露見した後本日までの長期にわたって、多人数が京都から上京するというある意味では相当重大な人的、経済的、辞典的損失を併い、かつ全く無効な結果に終わることを体験し予期しながらも、諦めることなく多数回にわたる示威、要請、PRなどの活動を根気よく繰り返すというような無駄な犠牲を払う必要は無く、早い時期にもっと効果的な、原告のいわゆる危険な直接行動に出ていたはずであり、これも原告の被告らを非難せんが為の中傷とも言える表現に過ぎないのであり、原告は崇仁協議会を敢えて「危険集団」であると独断したうえ、これを口実として「被告ら危険集団を原告の本店、支店等に立ち入らせないための警備の増強を余儀なくされ、円満な業務遂行を妨害されたうえ、全く根拠のない誹謗中傷により原告の名誉、信用を著しく侵害された」と主張するのであるが、前述したとおり、被告らの要請、抗議は「全く根拠の無い」どころか、極めて「重大な根拠」があったのみならず、原告こそその「重大な根拠」即ち「出町支店副支店長によるルール違反の手続きによる真実の預金債権者以外の者に対する高額の不当払戻し」という事実を隠蔽するためにこそ、払戻し事情の全面開示を拒否し、被告らの円満解決を目的とする話し合いの場の設定要請も峻拒し、歪曲粉飾した事実を仮構した一方的主張を高唱して司法当局の仮処分決定を再三にわたり取得することによって、高圧的に原告らの正当な要求を圧し潰さんと計っているのである。

 現に崇仁協議会は最後には、原告が経済的、精神的負担となるという集団活動を避けて、最も平穏かつ常識的に、相互に信用できる弁護士の代理人のみによる円満な話し合いの席の設定を再三にわたって要望したのであって、原告にとっても、それこそが警備の必要も、業務への支障もなく、相互相手の名誉、信用を傷つけることなく、紛争解決への合理的方策を見出すことのできる方法であることに何人も異論は無く、原告にとっても本来望ましい選択肢である筈で、かつ何時でも選択できる方法であるにも拘らず、敢えてこれを執らず、到って、被告らを暴力団並みに差別意識をもって前述のように抑圧する事しか考えない、と被告らが体験的に認識して決定的不信感を抱く宮崎弁護人との話し合いは無意味と判断する被告らとしては、原告に対する直接の要請、抗議の集団行動に出ざるを得ないことになっていることを原告としても十分認識しながら、従前の代理人宮崎弁護団への代理権委任のみに固執して、事実上被告らとの合理的対話を拒否してきたのであるから、警備の増強その他の事実上の負担は、もともと原告自身が「円満な話し合いによる実態の解明によって暴露され兼ねない原告の不祥事即ち前述「重大な根拠」を秘匿し、これを無かったことにする」という原告にとっての重要課題を徹底実現するためにはやむを得ざる負担として、あえてその負担を予測、承認したうえで選択したニ者択一の選択肢の一方であって、所詮はいわゆる「身から出た錆」であることに変わりはなく、これを恰も被告らの一方的不法行為に基づく損害と称して賠償を請求するのは、まさにそれによって被告ら崇仁協議会会員を差別して、その自由な言論、行動を抑圧せんがための論外の不当な言いがかりにすぎない。

 被告らとしては、前述「重大な根拠」を客観的に解明するための信頼できる当事者による徹底した話し合いと、客観的根拠によって事実の確認できる機会さえ与えられれば、その結果や結論の如何を問わず、その結論を納得し、当然のことながら原告に対する別途の要請活動は、如何なる形であるかを問わず、これを一切行なわないことを、現段階でも約束できることを改めて表明する。

 現に当職がさきに崇仁協議会の依頼により、代理人として原告頭取に書面を以って円満解決の場の設定を要請した平成12年3月23日から、この要請を頭から拒否されて崇仁協議会代理人の辞任を原告に通告した同年4月14日までの間は、本来円満解決こそ望ましく優先すべきものであるので、当職からも助言し、被告らも当然のこととして、別途の直接要請行動に出ることを差し控えていたのであり、また本件訴訟が提起された後は、これを機に問題解決をもっぱら訴訟の場に期待すべきものとして直接の要請行動は自発的に一切停止していることからも、被告らが、原告の主張する如く言を構えて無法な要求をする輩ではなく、もともと原告天下に名だたる金融機関らしからぬ不当な被告らに対する対応に対して、崇仁地区の公共的利益を擁護するため、やむなく行動を起したものの、常にでき得れば条理に従った対応行動を執ることの基本的理念を失っていないことは理解してやって戴けると思うのである。

「第五 結論について」

争う。

以上