東京三菱銀行との闘い


準備書面(2)


平成12年(ワ)第1706号 損害賠償請求事件
原告 株式会社東京三菱銀行
被告 崇仁協議会外4名

準備書面(2)

京都地方裁判所
第2民事部合議A係 御中

被告訴訟代理人弁護士 早川晴雄

原告の請求が理由の無いものであることは、さきに提出した準備書面(1)でその要旨を述べたところであるが、本件の基本的争点は要するに

原告が、彦倉のいわゆる抗議行動を、全く合理的根拠のない、単なる集団の威迫による業務妨害、信用毀損などを手段とする脅迫・強要により金銭を奪取しようとするこの種の団体の常套手段たる違法行為に過ぎず、被告らはこれを計画し指揮し実行してきたもので、この違法行為に対する警備・防御等のために、莫大な経済的損失を蒙ったと主張するのに対し、

被告らは、彦倉の抗議妖精行動には「莫大な合理的根拠」があると主張し、その重大な合理的根拠として、原告の出町支店木戸均副支店長が、真実の預金債権者である任意団体崇仁協議会の権限ある代表者の了解も得ないまま、協議会の構成員でも職員でも無いのに崇仁協議会会長を潜称する高谷泰三において協議会に帰属する資金を無断使用するものであること、さらには被告崇仁協議会の銀行への届出印鑑は藤井委員長夫人が保管し、預金通帳は会計主任高谷知伺が保管していて高谷泰三が使用する余地のないことをいずれも認識ないし十分察知しながら、高谷泰三と意を通じて、正式の通帳、印鑑の呈示ないし正式の払戻請求書を徴収することなく、チットブックと称する個人的メモ帳にサインさせ、或いは木戸の名刺の裏面を利用した預金預かり証を交付するだけで、崇仁協議会に帰属する資金を崇仁協議会名義口座預金から払戻し、或いは同口座に入金し、さらには高谷泰三が擅に指定する個人名義預金口座を崇仁協議会代表者の了承を得ることなく開設して崇仁協議会の資金をチットブック等によって入出金し、そのため崇仁協議会の預金約156億円を不正に流出させ、被告崇仁協議会の同額の預金債権の行使を不可能にさせ、しかもこれらの金銭の授受を、出町支店施設内或いは崇仁協議会事務所内以外の道路上或いは乗用車内などで実施することが多く、剰え夜間に行なうなど、すべてに極めて常軌を逸した方法によっていたという銀行側担当者木戸副支店長の不可解な不正行為を指摘し、不正流出金相当額の預金の現状回復による払戻し、ないし損失補填を求めることは正当な行為であって、原告主張の不法行為に基づく損害は存在し得ない旨主張する点にあるのである。

 この被告の預金原状回復ないし損失補填要請に対し、当初は原告も基本的にこれに応ずる態度を示して具体的に話し合いを進める旨の回答をし、ただ銀行の対外信用を憚って被告に支払うべき資金支出の方法論について検討のための時間の猶予を求め、被告側との話し合いを進める過程で原告から支払方法の試案も呈示されていたにも拘わらず、途中から、民暴対策に自信ありとする宮崎乾朗弁護士が、原告の上記のような合理的主張を全く無視して民暴の場合と同様、話し合い無用の強圧的全面拒否作戦に移行するに至ったため、やむなく集団による原告への直接陳情行動を実施するとともに再度円満話し合いを申し入れ、小職からも原告の本店頭取宛に原告代理人(宮崎弁護士を除くことを条件とした)との円満な話し合いによる集団行動の回避と基本的問題解決を申し入れたにも拘わらず、原告は理由なくこれを峻拒したのであって、要するに原告は、被告の申し出に応じて平穏な話し合いを実施することにより、原告の正当性を主張するという極めて常識的な対応を1つの選択肢として持ちながら、敢えてこれを放棄し、話し合いの過程で当然要求される木戸副支店長の預金不正払戻しの実態開示と、これに伴って上記被告側の「重大な合理的根拠」を認めざるを得なくなることによる有力金融機関としての原告の深刻な信用失墜を避けるためには、被告らの要請を全面拒否するほかはないとの判断のもとに、それによって必然的に集団抗議行動の再開が予測されるので、これに対する警備その他の対策このための費用支出が必要となることは当然のことと考え、これらの人的、経済的負担は、上記のような原告の信用保持のための止むを得ざる必要経費として予測し受忍することにしたうえでの二者択一の選択としての話し合い全面拒否であったのであるから、原告が損害として主張する警備費用などの出費は、本来ならば原告としても道義上或いは条理上は程度の差こそあれ自認すべき筋合いの原告自身の不正行為を、敢えて否認隠匿しようとすることによる当然の負担であって、前回も指摘した通り自ら覚悟のうえで選択したいわゆる「身から出た錆」であることに変わりはなく、原告自身の不当違法な行為により自ら招いた出費であるから、大よそ「被告らの行為に基づく損害」ではあり得ないのである。

 なお、被告らが反覆せざるを得なかった原告に対する集団運動が、東京都条例に定める公安委員会の許可を得ないものであったことも事実であるが、所轄警察署が積極的取り締まりに乗り出さなかったということも、その運動の態様が客観的に見てもさほどの危険性、反社会性を有するような過激なものでなかったことを、情状として斟酌されたものと推認することも可能ではなかろうか。

敢えていえならば、被告らこそ、原告の違法な預金払戻が露見した段階で、これの現状回復のための平穏な話し合いを原告に求めたにも拘わらず、原告から不当に話し合いを拒否されてしまったればこそ、無力の被告らが原告に訴える方法としてやむなく集団陳情運動ないし個人的抗議運動を継続したことにより、預金の事実上の消滅のみならず、この被害回復のための陳情、抗議運動のための旅費など、原告の不法行為に基づくかなり莫大な損害を生じているのであって、これらの損失補填を要求したいところである。

 いずれにしても被告側としては、何よりも先ず、すべての原因である木戸副支店長による被告崇仁協議会資金流出の実態を明らかにしたいのであり、むしろこれを正当な職務行為であると歪曲強調しようとする原告こそ、木戸副支店長の実施したような正規の預金払戻し業務のルールから甚だしく逸脱した職務行為でも、一流有名銀行として天下に恥じることなき正当な業務行為であったのだということを、原告保管のチットブック、預金払戻請求書、名刺による預金預かり証および(被告側の認識する限りでは)9口に及ぶ預金者名義による口座の元帳等の開示により、かつ木戸副支店長の弁明により立証されて然るべしと思料するのであるが、このような原告の立証活動の有無にかかわらず、被告としては追而この抗議要請行動の直接原因である「重大な合理的根拠」を立証すべく、早急に証拠請求をする予定である。 以上