東京三菱銀行との闘い


仮処分意義申立書

12年6月27日


京都地方裁判所 訴廷 12年6月27日

仮処分意義申立書

当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり



申し立ての趣旨

債権者から債務者に対する御庁平成12年(ヨ)第599号株主総会出席禁止仮処分命令申立事件について、平成12年6月23日にした債務者中口寛継および債務者中口姫子こと片順姫に対する仮処分決定は取り消す。

債権者の右債務者両名に対する仮処分申請は却下する。

訴訟費用は債権者の負担とする。

との裁判を求める。

異議の理由

(債権者主張事実の認否)

一.債権者は、先ず、今回の本件仮処分命令申立の理由として、債務者両名の従前の抗議行動とそれに対する債権者の法的対応措置、および、仮処分決定の潜脱目的による株付け、ならぴに、平成11年度株主総会の状況や直近の抗議行動における総会粉砕、犯罪実行予告について累々記述した。 そのうえで「被保全権利のまとめ」として、次の諸点を挙げる。

(1)債務者らの総会出席の目的は、三度にわたる仮処分決定およびその効力を担保する間接強制決定による禁止を潜脱し、総会の場を借りて違法な抗議行動を実行すること、すなわち、株主としての利益と全く無関係な虚偽の主張にもとづく金銭要求を実現しようとすることにある。

(2)債務者らの主張に法的根拠がなく、そのため訴訟を提議できない債務者が株主総会という外形的な権利行使を装い、総会に出席することは現在、債務者らにとって、違法な金銭要求を実現するためのほぼ唯一の手段になっている。

(3)債務者らによるかかる株主権行使が、その目的、態様の点からみて権利濫用に該当することは明白であり、議長権限の行使によって、議場内で債務者らの行動を制止することは不可能である。

(4)仕手株による巨利の追求手段として不当な議決権行使および株主権の行使が予想される場合に、当該株主権の行使は権利濫用であるとして、(議決論の行使自体が禁止された)株主権行使の禁止の仮処分を認めた東京地裁の判決があり、この理は、当然のことながら、株主の総会出席権についても妥当する。  一方、実方健二(北海道大学名誉教授)氏の「意見書」の意見をも債権者の支援に援用する。

(5)債務者らが株主として正当に議決権を行使するのであれば議決権行使書を返送すれば足りることであり、議決権の行使自体ではなく、総会への出席を禁止したとしても、債務者らが株主として被る不利益は微々たるものである。

 また、「保全の必要性」として、次の諸点を挙げる。

イ、債務者らの総会出席を認めることによって、債権者らが被るであろう被害は甚大であり、ことに、他の株主にまで被害が及ぶ可能性も大きい。

ロ、議長権限の行使によって、議場内で債務者らの行動を制止することは実際には不可能である。

ハ、警察の協力についても、昨年同様期待できない状況にあり、また、警察が立件できるような犯罪行為が実際に行使されてしまっては、当然のことながら遅きに失するといわなければならない。

二.そこで、以下に、債権者両名の債権者の主張に対する認否について記述する。なお、これが認否の記述にあたっては、債権者が主張する事実に対する債務者の認否のみであって、正起した事実の真実性の肯認を意味するものではないことを念のため指摘する。

1.右(1)は、債権者の恣意と独断に基づく総会出席目的の邪推にしか過ぎない。

2.右(2)は、債権者において、債務者がその主張の法的根拠がなく、ために訴訟を提起できず、総会出席が違法な金銭要求の実現のための唯一の手段とみることは、全くの独断であり、暴論である。

 なぜならば、債務者らの債権者に対する要請は、各種要請書および債権者代理人宮崎弁護士らと債務者代理人早川晴雄弁護士との間に交わされた内容証明郵便によっても明らかなように、債権者において事案解決に向かっての話し合いの場を設定するという自然かつ合理的な措置を採るということに尽きる至極単純明快な要請に応えないところにあるものである。

 本来、債務者が債権者に求めるものは、法的根拠のない「要求」でなく、厳然たる預金払戻「請求」であって法的根拠を有するのであるが、これが請求訴訟の提起には(債権者にとっては易々たる金額であろうが)、債務者にとっては巨額の訴訟費用を要するため、残念ながら提起を断念せざるを得ない事情があるためである。

3.右2の「請求」の観点とは全く別の債務者の株主権行使をば、右(3)のごとく金銭要求の実現などという債権者独自の誤断によって権利濫用法理にすり替えることは、債権者自身の良心に顧みてなんらかの虚構を意図して防衛を図る以外にないと断ぜざるをえない。したがって、議長権限の行使についても、債務者らの行動の制止の不能を殊更に力説せざるを得ないのである。

4.右(4)に挙げた東京地裁の判例は、いみじくも「仕手株による巨利の追及手段」というそれこそ「不当」な議決権行使および株主権行使の予測可能性に関する先例であって、右3で指摘した債務者の正当な本来の株主権行使とは自ずと異別の判旨として援用無用のものである。

 また、実方氏の意見に対しては、法学者としての見識として敬意を表するが、その意見書作成の年月日が平成12年6月17日とあるところからも、債権者からの事案に対する前提としての事情説明に基づいて勘案された意見書であるとこは何人が考えても間違いのないところである。ということは、氏が株式会社法の泰斗として大枠で一般的法理について示された意見には違いなかろうが、そうかといって債権者の事情説明が事実を誤ってなされた場合にはその意見に誤謬が無いとは言えない。

 債務者においては、本来株主総会への出席は、まさに氏の示された共益権も含む基盤の上で求めるものであって、これは会社経営の健全性を確保し、それによる株主全体の利益を図ろうとするものにほかならず、預金払戻業務に関するいわゆるコンプライアンスの請に基づくものであって、会社経営の健全性の外形を装う意図など毛頭かつ断じて無いものなのである。

5.債権者が右(5)に主張するように「総会への出席を禁止したとしても、債務者らが株主として被る不利益は微々たるものである」との考え方に重大な違憲と違法がある。 これについては後記「6.その他のA」に記述する。 また、イ・ロ・ハに列記した諸点は、単なる債権者の主観的予測ないし誤断に基づく主張にしか過ぎず、いわゆる犯罪人類型学的発想に基づく根拠を欠く暴論である。

6.その他

債権者の記述には、従前も、また、今回も、事実を偽った欺瞞があり、裁判官に誤断を生じせしめた由々しき違法、および、裁判所に対する侮辱があるので、その顕著な点を左に列挙する(頁数は、本件仮処分命令申立書の頁に拠る)。

A.債権者は「チットブックは、当時の副支店長が備忘録として作成していたメモであるが、そのようなものだけで出金がなされた事実はない」(35頁)が、依頼した山田有宏弁護士に対し「6月26日に債権者の定時株主総会が本店で開催されるので、ハンストを止め、併せて抗議運動のバス5台を帰京さして呉れれば、直ちに返還金に関する示談の話し合いに入りたい」旨の連絡が入ったのである。

 そこで山田弁護士が中口委員長にその旨を伝えたところ、話し合いの誠意が真実であると信じ、26日に中止に入った途端、数日を出でずして、話し合いは眼中になく「債権者に与えた損害賠償額の減額について相談に乗る」との宮崎弁護士の話に豹変したのである。ここに至って、山田弁護士の宮崎弁護士に対する不信感は極点に達した。

 唖然としか言い様のないこの経過は、債務者らが崇仁同和部落の改善改良資金の流失という不法不当な具体的事実に基づき、その返還を延々と債権者に要請し続けた事情、および、その返還のための早急な話し合いに応じるテーブルを持つよう要請し続けてきた事情をば、債権者とその依頼弁護士は百も知恣していながら、二日後に迫った株主総会を乗り切ることが至難とみて取ったため、取り敢えずのその場凌ぎの欺瞞策を企図するにいたり、総会場に出入りする多数の株主各位が期せずして関心を抱くであろうハンストと抗議運動バスの状況を参集株主の視界から消し去ることに成功したものであることを如実に物語る事実である。

 爾来、一年後が「平成11年度株主総会の状況」(37頁)であり、本件仮処分が2年後に当たるのである。

 何人も首肯するこのような背信と欺瞞を信義誠実を旨とすべき日本国のトップ銀行や法の正義の実現と基本的人権を擁護すべきわが法治国の弁護士が行ってよいのであろうか。答えは、断固として有ってはならぬ、否、ならぬどころか断じて許されぬとの憤怒に到達して当然の事理である。

右の経過上、債務者は返還金について話し合うための債権者提示の条件を履践したのであるから、債権者が直ちにその話し合いのテーブルに着くよう再三再四要請し続けているが、これに応じようとはしない。

なぜか。

 債権者側には同和部落民に対する差別思想とそれに基づく侮蔑行動が横たわっているからである。 このことは、決して難解な用語や言葉をもって説示する必要はない。その理由は、唯一つ、他人と約束を交わした場合、市井の普通人となら当該約束を守るにもかかわらず、部落民となら僅かの抵抗もなく約束を踏みにじるからである。これを換言すれば、部落民は人に値せず、したがって法治国家日本の国民ではないとの思想であり行態なのである。

 したがって、今回の債権者の株主総会直前に鑑み、債権者が頑なに話し合いのテーブル設定を回避するとともに債務者等の株主総会出席を阻止するために苦肉の偽策として本件仮処分命令の申立てに及んだものである。

 なお、先述の川村眞吾郎と木村弁護士とについての債権者の記述の事実無根については、幸いにご審尋の機会を与えられれば川村本人が面接説明に参上すると申していることを慈に申し添える次第である。

 以上、いずれにしても自己の非を隠蔽するための架空事実の捏造や詭弁がわが国の都市銀行において現に行われていることは(これこそ)明白な事実であって、日常業務で巨額な金銭を取り扱う行態に麻痺汚染された(だからこそ、数ヶ月前にも複雑な迂回経路を策定した60数億円の国税逋脱事件を惹起した事実が報道された)債権者の所為が許されてよいのか。また、それをわが国の司法が恰もこれに与するかのごとく債権者の申立てを嚥下許容されてよいのであろうか。

 また、法廷における司法審理に入れば債権者の所業の一部始終が公開されることを至大に惧れながら、債務者らをはじめとする被差別同和住民らの貧困と飢餓を見越したうえで「訴訟せよ、なぜ訴訟という正当な方法で要求をしないのか、それは訴訟を維持する法的根拠を持たないからだ。だから、不法な暴力団類似の暴挙を執拗に続け、今回又も、株主総会で不法を犯そうとする」と強弁して憚らないのである。

C.おわりに、本件債務者中口姫子は、債権者が縷々掲記した各種抗議行動の一切(21頁・29頁以下・31頁以下・)、および、前年度株主総会中の言動(38頁以下)の一切については、債務者中口寛継がその夫であるため、妻として夫の健康や身の回りの世話のため同座はしたものの、行為を行っていない。

したがって、本件の今年度株主総会にも、他の株主たる崇仁協議会会員と同様に当然出席可能が当然である。すなわち、出席を禁止される理由はないと思料するものである。

三.以上のことから、本件仮処分は、被保全権利を欠くのみならず必要性もないので、仮処分決定を受ける理由はないから、その取り消しを求めるべく本申立てに及んだものである。

添付書類 一、早川─宮崎弁護士間の往復文書(ただし、同一事件債務者吉川君男提出分を援用)

平成12年6月27日

(住所略)中口寛継

中口姫子こと片順姫

京都地方裁判所 第五民事部御中



当事者目録

債権者

〒100−8388 東京都千代田区丸の内二丁目七番一号

株式会社 東京三菱銀行

右代表者代表取締役 岸 暁

〒530−0047 大阪市北区天満二丁目10番二号 幸田ビル13階

宮崎法律事務所

右債権者ら代理人

弁護士 宮崎 乾朗

弁護士 大石 和夫

弁護士 林  泰民

弁護士 玉井健一郎

弁護士 坂東 秀明

弁護士 関   聖

弁護士 田中 英行

弁護士 松並 良

弁護士 河野 誠司

弁護士 下河邊由香

弁護士 宮原 正志

弁護士 中西  啓

弁護士 北浦 一郎



債務者 (住所略)中口寛継

債務者 中口姫子こと片順姫